Model O Wireless
スペック
| 重量 | 69 g |
|---|---|
| 全長 | 128 mm |
| 幅 | 66 mm |
| 高さ | 37.5 mm |
| センサー | BAMF |
| DPI範囲 | 400 – 19,000 |
| ポーリングレート | 125 / 250 / 500 / 1000 Hz |
| ボタン数 | 6 |
| 接続方式 | wireless_2.4ghz, wired |
| バッテリー | 71 時間 |
| 形状 | symmetrical |
| RGB | あり |
| ソール素材 | PTFE |
| 発売年 | 2021 |
Glorious Model O Wireless と他のマウスを比較
概要
Glorious Model O Wirelessは「軽量ワイヤレスマウスに¥15,000も払う必要はない」という考え方を広めた立役者です。2021年発売当時、70g以下・¥10,000以下のワイヤレスマウスはほぼ存在しませんでした。Zowie FKシリーズに着想を得た左右対称シェイプ、ハニカム構造のシェル、RGB照明——重いワイヤードマウスから軽量ワイヤレスへ移行したい多くのプレイヤーにとって、最初の一歩となったマウスです。
ただし、発売から数年が経過した現在、競合環境は大きく変わりました。Pulsar、Endgame Gear、Razerなどのメーカーがハニカムなしでより軽く、より優れたセンサーとスイッチを搭載したマウスを次々と投入しています。Model O Wirelessの立ち位置は、コストパフォーマンスを重視するプレイヤー向けの入門機——超軽量ワイヤレスというカテゴリへの入口として依然として価値があります。本記事では、何が優れていて何が現行機に劣るのかを具体的に整理します。
デザイン・ビルドクオリティ
Model O Wirelessの最大の視覚的特徴はハニカムシェルです。天面と底面に六角形の穴が開けられ、重量を削減しています。このデザインは2020〜2021年に流行した手法で、Model Oはその最も有名な代表格でした。
マット仕上げのコーティングがシェルの非穴部分を覆っています。価格帯を考慮すればビルドクオリティは妥当ですが、クラス最高ではありません。ハニカム部分を強く挟むとシェルのたわみを感じます——パーフォレーション構造に伴う構造上のトレードオフです。きしみやガタつきはないものの、激しいグリップ調整時にはたわみが知覚できます。
シェル素材はPC/ABSで、このカテゴリでは標準的。RGBライティングがハニカムパターンを通して発光し、穴あきデザインならではの美しさがあります。競技利用ではRGBオフ推奨ですが、見た目を楽しむならModel Oの最大の魅力のひとつでしょう。
メインスイッチはOmronベースのGloriousブランドメカニカルスイッチで、耐久性は2,000万回クリック。現行の業界水準——Kailh GM 8.0の8,000万回、Razer光学スイッチの9,000万回——と比較するとかなり控えめです。ヘビーユースでは1〜2年でダブルクリック問題が出る可能性があります。
スクロールホイールはメインボタン間、その後方にDPIボタン。左側面にサイドボタン2つ。充電端子はUSB-Cでフロントに配置されています。
シェイプ・グリップ適性
Model O Wirelessのサイズは128mm × 66mm × 37.5mm。シェイプはZowie FK1+の忠実な再現——左右対称・ロープロファイルで、緩やかなハンプが中央に位置します。37.5mmという高さがこのマウスの最大の特徴で、手のひらとの接触が少ないグリップスタイルに適した「フラットなマウス」です。
パームグリップ(手の長さ18.0〜20.0cm): ロープロファイル好きなら、リラックスしたパームグリップで使えます。ただし37.5mmの高さでは手のひらが完全にフィットせず、アーチの高い手だとハンプとの間に隙間ができます。手のサイズ18.0〜20.0cm・幅9.0〜10.5cmのフラットな手のひらであれば、カジュアルやランクマッチで十分なサポート感が得られます。DeathAdder V3 Pro(44mm)やG Pro X Superlight 2(40mm)と比較すると明確にフラットで、FKシリーズ経験者には馴染みのある握り心地です。
クローグリップ(手の長さ17.5〜19.5cm): クローグリップとの相性は良好。ロープロファイルかつ中央配置のハンプにより、指が自然にアーチを描けます。128mmの全長は指の配置に十分な余裕があり、窮屈さはありません。66mmの幅は親指と小指のピンチも快適。フラットな形状がクローグリップに逆に好都合で、指の曲線と干渉する素材が少ないのがメリットです。
つかみ持ち(手の長さ17.5〜20.0cm): 可もなく不可もなく。69gの重量はつかみ持ちの操作に対応でき、37.5mmの低さは手のひらの邪魔をしません。しかし69gは2024年のつかみ持ち基準では「軽量」とは言い切れません。Pulsar X2 V2の52g、Finalmouse Starlight-12の42gと比べると機敏さで差があります。つかみ持ちメインなら使えるが最適解ではないという位置づけです。
ハニカムの質感について: 天面のハニカム穴が手のひらや指に独特のテクスチャ感を生みます。これを「グリップ感があって好き」と感じるプレイヤーもいれば、「長時間使用で不快」「肌への感触が合わない」と感じるプレイヤーもいます。ハニカムマウス未経験なら、購入前に実物を触ることを推奨します。
重量バランスと操作感: 69gという重量は2021年時点では超軽量でしたが、現在はミドルレンジに位置します。前後の重量配分は比較的均一で、スロートラッキングでもフリックでもバランスの取れた操作感。ハニカム構造によりシェル全体で均等に軽量化されるため、偏った重心やデッドスポットはありません。ただし、Finalmouse Starlight-12(42g)やPulsar X2 V2(52g)と比較すると、リフト&リセット動作で明確に重さを感じます。90g以上のマウスからの乗り換えなら劇的に軽く感じるでしょうが、現行の60g以下の競合と比較すると差は歴然です。
FK系シェイプの血統: Zowie FKシリーズはeスポーツ史上最も影響力のあるマウスシェイプのひとつで、Model Oのシェイプはその忠実な再現です。FK系は、正確な照準操作を必要とするCounter-Strikeのプロ選手との協議を経て開発されました。フラットなプロファイルは手首を自然な角度に保ち、長時間セッションの負担を軽減します。中央配置のハンプにより、手のひらの付け根と指先の両方が接触でき、どちらかを強制しません。FKシリーズ使用歴のあるプレイヤーならModel Oの形状は即座にフィットし、未経験者にとってはゲーミング界で最も実績のあるシェイプのひとつを体験する機会になります。
センサー性能
BAMFセンサーはPixArtベースのカスタムセンサーで、DPI範囲は400〜19,000。最大トラッキング速度400 IPS、加速耐性40G。リフトオフディスタンス(LOD)は約1.2mmで、調整不可です。
BAMFはModel O Wireless発売当時には競争力のあるセンサーでしたが、現行世代には及びません。PAW3395(Endgame Gear XM2wやPulsar X2 V2に搭載)はより低遅延かつ省電力。Focus Pro 30KやHERO 2(それぞれRazer、Logitechの旗艦センサー)はLODが低く、極端な速度域でのトラッキングが若干優れています。
実際のゲームプレイ(400〜1600 DPI帯)では、BAMFセンサーはスピンアウトや加速の問題なく正確にトラッキングします。クリック遅延は約2.5ms、モーション遅延は約6.0ms——最新の最速センサーに比べると一歩劣りますが、遅延に極度に敏感なプレイヤーでなければ実用的な範囲です。
LOD調整不可は二つの制限のうちより実際に影響がある方です。1.2mmのLODは、0.8mm設定可能な現行マウスに比べてマウスを持ち上げた際にやや長くトラッキングが継続します。ローセンシ(360°回転30cm以下)でリフト動作が多いプレイヤーは、リポジション時の意図しないカーソル移動を感じる可能性があります。致命的ではないものの、サブ1mm LODを提供する現行機との計測可能な差です。
スイッチ・ボタン
メインスイッチはOmronベースのGloriousブランドメカニカルスイッチ。作動力は約55gf——標準的な中間の重さ。クリック感は妥当で、明確な触覚フィードバックがあり、左右クリックの一貫性も合理的な範囲です。
最大の懸念は2,000万回クリックの耐久性。現行の競合はKailh GM 8.0(8,000万回)、Razer Optical Gen-3(9,000万回)、Logitech LIGHTFORCEスイッチなど、同等以上の耐久性を備えています。耐久性が低いということは、使用期間内にクリックの不安定さやダブルクリック問題が発生するリスクが相対的に高いということです。
サイドボタン2つは明確なクリック感で標準的な品質。スクロールホイールはメカニカルステップエンコーダーで中程度の抵抗感——ゲーミングに機能的ですが特筆すべき点はありません。スクロールホイール後方のDPIボタンはやや突出しており、中央付近を強く握るプレイヤーは誤押下に注意が必要です。
接続性・バッテリー
Model O Wirelessは2.4GHz無線接続のみ。Bluetoothなし、充電中の有線モードもありません。Corsair M75 WirelessやASUS ROG Harpe Aceなどのトライモード対応機と比較すると汎用性は劣ります。
公称バッテリー寿命は71時間。実使用では1000Hzポーリングレート・RGB消灯時で約55〜65時間、RGB点灯時で40〜50時間です。現行ワイヤレスマウス市場では80〜100時間が標準的な水準であり、やや物足りない数値です。
充電はUSB-C経由で、フル充電まで約2時間。2.4GHzドングルは標準サイズで、マウスパッド近くに最適配置するためのUSB-A延長ケーブルが付属します。重要な制約として、充電中はデータ通信ができません。ケーブル接続中は充電のみで操作不可——充電を忘れた朝にすぐプレイしたい場合に不便です。
ソール・滑り
Model O Wirelessには「G-Skates」——厚さ約0.8mmのPTFEソール4枚が標準装備。クロスパッドではスムーズ、ハードパッドでも十分な滑りを提供します。G-Skatesは汎用の純正ソールよりは一段上ですが、Corepad Skatezなどのプレミアムソールには及びません。
サードパーティ製ソールは広く入手可能で、エンスージアスト界隈ではTiger ArcやCorepadへの交換が定番のアップグレードです。ソール形状が一般的なため交換は容易です。
ソフトウェア
Glorious COREが対応ソフトウェアです。DPI設定、ポーリングレート選択、ボタンリマッピング、RGBカスタマイズ、マクロ作成を提供。オンボードメモリプロファイルは1つで、マウス本体に1つの設定のみ保存可能です。
CORSAIRのiCUEより軽量ですがRazer Synapseほど多機能ではありません。プロファイル1つという制限は、CS2とValorantでDPIを変える場合など、ゲーム間で設定を切り替える際にいちいちソフトウェアを開く必要があるということです。基本的な設定には十分機能しますが、大手メーカーの洗練されたソフトウェアとは差があります。RGBカスタマイズはCOREの最も充実した機能で、ハニカム照明のゾーン別カラー制御や複数のライティングエフェクトに対応しています。
プロ選手の使用状況
Glorious Model O Wirelessは、トップレベルのeスポーツ競技シーンでの採用実績がほぼありません。Gloriousはストリーマーやコンテンツクリエイターの領域ではある程度のプレゼンスがありますが、トッププロの手にマウスを届けるスポンサーシップ基盤を持ちません。
Model Oの真の功績は超軽量マウスムーブメントの触媒としての役割です。初代Model O(有線)が2019年に約$50で発売された時、70g以下のゲーミングマウスがその価格で実現できることを証明しました。この価格・重量面でのプレッシャーがLogitech、Razer、SteelSeriesに軽量化を促し、現在の60g以下ワイヤレスマウスの世代を生み出す原動力となりました。
エンスージアスト界隈では、Model O Wirelessは「最初の超軽量マウス」として頻繁に推薦されます。100g超のマウスを使ってきたプレイヤーが、¥15,000のリスクなしに軽量ワイヤレスを体験するための入口です。この「入門機としての価値」こそがModel Oの真骨頂で、カテゴリ最高のマウスではなくても、プレイヤーのグリップスタイルの発見や好みの特定に貢献してきました。今日のマウスコレクターやエンスージアストの多くが、Model Oからマウス沼への旅を始めています。
コミュニティの評価
よく挙がる長所:
- ワイヤレス超軽量カテゴリへの手頃な入口
- FK系シェイプは実績があり多くのグリップスタイルに適合
- サイズの割に69gは軽量
- 販売網が広く入手・返品が容易
- ハニカム越しのRGBライティングが美しい
よく挙がる短所:
- ハニカム構造にホコリ・皮脂・細かいゴミが溜まりやすい
- スイッチ耐久性2,000万回は現行水準を下回る
- クリック遅延・モーション遅延が最新機より高い
- Bluetooth非搭載でマルチデバイス運用に不向き
- バッテリー寿命が現行ワイヤレスマウスとしてはやや短い
総評・購入ガイド
こんな人におすすめ: ¥10,800以下でワイヤレス超軽量マウスを初めて試したい方。FK系のフラットシェイプが好みで、「入門機」としての位置づけを受け入れられるなら、グリップスタイルの発見やマウスの好みを見極めるための出発点として最適です。
こんな人には向かない: 最新のセンサー・スイッチ・低遅延を求めるプレイヤー。同価格帯ならEndgame Gear XM2w(約¥12,000)がクリック品質・ビルドクオリティ・センサー性能すべてで上回ります。予算に余裕があれば、Pulsar X2 V2 WirelessやRazer Viper V2 Proがあらゆる面で大幅なグレードアップになります。
代替候補:
- Endgame Gear XM2w(約¥12,000)— より良いスイッチ・ビルド、ハニカムなし、同価格帯
- Razer Viper V2 Pro(約¥22,000)— 大幅に低い遅延と上位センサーのプレミアム機
- Pulsar Xlite V3 Wireless(約¥14,000)— ハニカムなし・高ビルドクオリティのエルゴノミック形状
価格評価: 定価¥10,800で、ワイヤレス超軽量の入門機としては妥当な価値。セール時にはさらにコストパフォーマンスが向上します。ただし定価ならEndgame Gear XM2wの方が競技プレイヤーにとって純粋に上位の選択肢です。
Model O Wirelessは「ゲートウェイ製品」として理解するのが最も正確です。どの特定カテゴリでも最高のワイヤレスマウスではありませんが、軽量ワイヤレスゲーミングの世界に初めて足を踏み入れるための手軽でリスクの少ない方法です。このマウスがプレイヤーの好みを形作り、自分に合うグリップスタイルを教え、マウスに何を求めるかを明確にしてくれる——その「教育的価値」は、スペック面で新世代に追い抜かれた今も色褪せていません。初めてのワイヤレス超軽量マウスで出費を抑えたいなら、Model O Wirelessは合理的なスタート地点です。