Xtrfy

M8 Wireless

wirelesssymmetricalfpsesports

スペック

重量 58 g
全長 125 mm
65 mm
高さ 40 mm
センサー PixArt PAW3395
DPI範囲 400 – 19,000
ポーリングレート 125 / 250 / 500 / 1000 Hz
ボタン数 6
接続方式 wireless_2.4ghz, wired
バッテリー 90 時間
形状 symmetrical
RGB なし
ソール素材 PTFE
発売年 2023

概要

Xtrfy M8 Wirelessは、スウェーデンのゲーミングブランドXtrfyが2023年にリリースした超軽量ワイヤレスマウスだ。58gの本体にPixArt PAW3395センサーとKailh GM 8.0スイッチを搭載し、2.4GHzワイヤレスおよび有線USBの2方式に対応する。価格は¥12,000。

M8 Wirelessの最大の特徴は、他社マウスとは一線を画す独自のシェル形状にある。低めのフロントと後方に配置されたサポーティブなハンプ——この組み合わせはつかみ持ちに最適化された設計思想を反映している。Xtrfyはかつて北欧のeスポーツチームNinjas in Pyjamasと協業していたブランドであり、プロ選手のフィードバックを形状設計に反映してきた経緯がある。M8はM42シリーズの後継として開発された初のワイヤレスモデルで、58gの軽さに穴なしの堅牢なシェル、PAW3395の最新センサー性能を凝縮した「つかみ持ち特化マウス」だ。

デザイン・ビルドクオリティ

Xtrfy M8 Wirelessを手に取ると、まず58gという重量に驚く。パッケージから取り出した瞬間「軽い」と感じるのではなく、「中身が入っていないのではないか」と疑うレベルの軽さだ。それでいてシェルにハニカム穴は一切ない。完全にクローズドな外殻を維持しながら58gを実現している点は、2023年当時でも高い評価を集めた。

素材はPC/ABS樹脂で、表面はXtrfy独自のEZcordと呼ばれるマットコーティングが施されている。このコーティングは一般的なマット仕上げと比べてわずかにドライな質感を持ち、手汗への耐性が高い。長時間のセッションでも指先が滑りにくく、グリップテープなしで十分な保持力を発揮する。湿度の高い日本の夏場でも、ドライタッチの恩恵は大きいだろう。

ビルドクオリティは¥12,000の製品として非常に優秀だ。シェルを強く押し込んでもたわみは感じられず、振ってもカタカタ音は出ない。58gという超軽量クラスでこの剛性感を実現しているのは、シェル内部の構造設計が丁寧である証拠だ。メインボタンのぐらつきもなく、全体として「軽いが安っぽくない」という、超軽量マウスに求められる理想のバランスに到達している。

デザイン面で特筆すべきは、北欧ブランドらしいミニマルな意匠だ。ロゴの主張は控えめで、RGBライティングは搭載されていない。RGB非搭載は好みが分かれるが、バッテリー効率への貢献とデスク周りのクリーンな見た目を重視するプレイヤーにとっては歓迎すべき仕様だ。底面には2.4GHzレシーバーの収納スペースが設けられており、携行時のドングル紛失リスクを回避できる。電源スイッチも底面に配置されている。

全体として、M8 Wirelessのデザインは「無駄を削ぎ落とした機能美」だ。派手さはないが、手に取るたびに感じる軽さと剛性のバランス、そして汗に強い表面処理——実用性を突き詰めた設計がXtrfyの思想を体現している。

形状・グリップ互換性

Xtrfy M8 Wirelessの形状は左右対称だが、その輪郭は他の左右対称マウスとは明確に異なる。最大の特徴は後方に配置されたハンプと、低く抑えられたフロントセクションの組み合わせだ。サイズは全長125.0mm、幅65.0mm、高さ40.0mm。中型の範疇に入るが、低いフロントと独特のカーブにより、数値から想像するよりもコンパクトに感じる。

この形状は「つかみ持ち専用機」と言って差し支えない。手のひら後部をハンプに預け、指先をアーチ状に立てて操作する——M8はこのグリップスタイルのために形状の隅々まで最適化されている。

つかみ持ち(手の長さ17.0〜19.5cm、手幅8.5〜10.0cm) — 最適

M8 Wirelessが最も真価を発揮するグリップだ。後方のハンプが手のひら付け根にぴたりと収まり、低いフロントが指先の自由度を最大限に確保する。この前後の高低差が、つかみ持ちにおける「手のひらのアンカー」と「指先のマイクロアジャストメント」の両立を実現する。

58gの重量はつかみ持ちとの相性が極めて良い。指先でのコントロールが主体となるつかみ持ちでは、マウスの軽さが直接操作精度に転化される。60g以下の超軽量域に入ると、フリック後の制動に意識を割く必要がなくなり、エイムの微調整に集中できる。

手の長さ17.0〜19.5cmの範囲がスイートスポットだ。17.0cm未満の小さな手では、ハンプの位置が手のひら付け根より前にずれてしまい、つかみ持ちの支点が不安定になる。逆に20.0cm以上の大きな手では、125.0mmの全長が不足し、指先がマウス前方からはみ出す。手の長さ17.0〜19.5cmのつかみ持ちプレイヤーにとって、M8の形状は「この手のために作られたのではないか」と錯覚するほどのフィット感を提供する。

かぶせ持ち(手の長さ17.5〜19.5cm、手幅9.0〜10.0cm) — 使用可能だが条件あり

M8 Wirelessでのかぶせ持ちは不可能ではないが、形状の特性がかぶせ持ちに対してやや不利に働く。低いフロントセクションは、かぶせ持ちで指を伸ばした際にメインボタンとの接触面積を減少させる。手のひら全体でマウスを包み込むかぶせ持ちにおいて、フロントの低さは操作の安定感を損なう要因になり得る。

高さ40.0mmは中型だが、ハンプの頂点が後方に偏っているため、かぶせ持ちで手のひらの中央を支える力が弱い。DeathAdder V3やZowie EC2-Cのようなエルゴノミクス形状がかぶせ持ちに適しているのは、手のひら全体に沿うカーブを持っているからだ。M8のカーブはそれとは設計思想が異なる。

手の長さ17.5〜19.5cmのかぶせ持ちユーザーであれば「使える」が、かぶせ持ち用に購入するならRazer DeathAdder V3 HTEやZowie EC2-Cなど、かぶせ持ちに最適化された形状を選ぶ方が賢明だ。

つまみ持ち(手の長さ16.5〜19.0cm) — 良好

つまみ持ちとの相性は良好だ。58gの軽さは指先だけで保持するつまみ持ちにとって大きなアドバンテージであり、65.0mmの幅は左右の指で挟み込むのにちょうどよい。低いフロントが指先でのコントロール性を高め、操作の自由度は高い。

ただし、つまみ持ちにとって40.0mmの高さはやや存在感が大きい。指だけでマウスを支える際、高さが38mm以下のマウスと比較すると指の第二関節への負荷がわずかに増える。純粋なつまみ持ち特化を求めるなら、Razer Viper V3 Pro(37.8mm)やEndgame Gear OP1 8K(38.0mm)を検討する価値がある。

センサー性能

PixArt PAW3395はM8 Wireless発売時点で最高峰に位置する光学センサーだ。DPI範囲400〜19,000、最大トラッキング速度400 IPS、加速耐性40G。2026年現在でも第一線のセンサーであり、競技で使われるDPI帯(400〜3200)において性能面の不安は一切ない。

トラッキング精度はDPI変動率1%未満。ジッターは低DPIでもゼロに近く、スムージング処理も競技用DPI帯では無効化されている。CS2やVALORANTを400 DPIでプレイする場面で、後発のPixArt PAW3950やFocus Pro 30Kとの差を体感することは事実上不可能だ。PAW3395は「十分すぎるセンサー」であり、これ以上の性能向上がゲームプレイに影響を与える段階はすでに過ぎている。

リフトオフディスタンスは初期値約1.0mmで、ソフトウェアから調整が可能だ。1.0mmという初期値は多くのFPSプレイヤーにとってちょうど良い設定で、追加の調整なしにマウスの持ち上げ・再配置が快適に行える。必要に応じて0.7mm程度まで下げることもできるが、初期値で問題を感じることは少ないだろう。

クリックレイテンシは約2.0ms、モーションレイテンシは約5.0ms。いずれも競技用マウスとして十分に低い数値であり、入力遅延が原因でゲームプレイに支障をきたすことはない。

スイッチ・ボタン

Kailh GM 8.0はメカニカルスイッチの中でも高い評価を受けるスイッチだ。公称寿命8,000万回クリック。クリック感は「パリッとした軽さ」で、押下荷重は約52gf。軽すぎず重すぎない絶妙な設定で、タクタイル感が明確でありながら疲労感が少ない。

M8 Wirelessのメインボタンのクリック品質は、この価格帯のマウスとしてトップクラスだ。Kailh GM 8.0の素性の良さに加えて、ボタンシェルの設計が適切なプリトラベルとポストトラベルを実現している。高速連打時の安定性も良く、FPSでのタップ撃ちからMOBAの連続クリックまで快適にこなせる。

サイドボタンは2個。本体左側面に配置されており、押し心地は明確でぐらつきもない。つかみ持ちで親指をやや後方に配置するプレイヤーでも、ボタンの位置にアクセスしやすい設計だ。

スクロールホイールはステップ感のあるメカニカルタイプで、ノッチの手応えは中程度。武器切り替えやウェブブラウジングのどちらでも不満なく使用できる。ホイールクリックの荷重も適正で、意図しない誤入力は起きにくい。

接続性・バッテリー

M8 Wirelessは2.4GHzワイヤレスと有線USBの2方式に対応する。Bluetoothには非対応だ。2.4GHzワイヤレスは1000Hz(1ms)のポーリングレートで、有線接続と遜色のないレスポンスを提供する。競技用途では2.4GHzワイヤレスを使用すべきだが、充電中は有線マウスとしてそのまま使用可能だ。

Bluetooth非対応は、仕事用PCとゲーミングPCを1台のマウスで切り替えたいユーザーにとってはマイナスポイントだ。M8は「ゲーミング専用機」と割り切って使うべき製品であり、汎用性よりも競技性能を優先した設計判断と理解できる。

バッテリー持続時間は公称約90時間。実測値では65〜75時間程度が現実的な数字だ。1日4時間のゲームプレイなら約2週間半に1回の充電で済む。RGB非搭載のため、バッテリー消費がライティングに食われることがなく、公称値と実測値の乖離が比較的小さい。

ポーリングレートは125Hz、250Hz、500Hz、1000Hzの4段階を選択可能だ。4000Hz対応は非搭載であり、最新の超高ポーリングレートを必要とするプレイヤーには注意が必要だ。ただし、1000Hzは現時点でも大半の競技プレイヤーが使用する標準的な設定であり、実用上の問題にはならない。

マウスソール・滑り

M8 Wirelessのマウスソールは大型のPTFE素材が底面に4枚配置されている。厚みは0.8mm。出荷状態での滑り心地は非常に良好で、ブレークイン期間をほとんど必要としない。大きな接触面積のおかげで滑りが安定しており、初動のひっかかり感もほぼ感じられない。

58gという超軽量と大型PTFEソールの組み合わせは、布パッド上でのスムーズなグライドを実現する。サードパーティ製の交換ソール(Corepad、Tiger Arcなど)も入手可能だが、純正ソールの品質が高いため、消耗するまで交換の必要性は薄い。

ソフトウェア

Xtrfyのソフトウェアは「ミニマル」の一言に尽きる。DPIの設定変更、ポーリングレートの切り替え、リフトオフディスタンスの調整——基本的な機能は備えているが、Razer SynapseやLogitech G HUBのような多機能ソフトウェアとは対照的だ。オンボードメモリに1プロファイルを保存でき、ソフトウェアがインストールされていないPCでも設定を維持できる。

ソフトウェアの機能が限定的であることはデメリットにも見えるが、裏を返せば常駐プロセスによるシステムリソースの消費がなく、ドライバの相性問題に悩まされることもない。一度DPIとリフトオフディスタンスを設定してしまえば、あとはソフトウェアを起動する場面はほぼない。シンプルさを美徳と捉えるか、カスタマイズ性の不足と捉えるかは、プレイヤーの志向次第だ。

プロ選手の使用状況

Xtrfy M8 Wirelessを競技シーンで使用するプロ選手は、現時点のデータベースに登録されていない。Xtrfyは北欧のブランドとして一定の知名度を持つが、Razer、Logitech、Zowieといった大手と比べるとプロシーンでのスポンサーシップ契約数は限定的だ。

ただし、M8の形状はコミュニティで根強い支持を集めており、「プロが使っていないから性能が劣る」という判断は適切ではない。プロ選手の機材選定はスポンサー契約に強く制約されており、個人的に使用するマウスと公式に使用するマウスが異なるケースは珍しくない。M8のPAW3395センサー、Kailh GM 8.0スイッチ、58gの重量は、競技シーンで十分に通用するスペックだ。

よくある評価と不満

高評価ポイント:

不満として挙がる点:

総評・購入ガイド

買うべき人: つかみ持ちで手の長さ17.0〜19.5cmのプレイヤーがメインターゲットだ。M8 Wirelessの独自形状は、つかみ持ちに最適化されたマウスの中でも随一のフィット感を提供する。58gの穴なしシェル、PAW3395の信頼性、Kailh GM 8.0の上質なクリック——これらに¥12,000の価値を見出せるなら、M8 Wirelessは極めて満足度の高い選択肢だ。特に、他社の左右対称マウスにしっくり来なかったつかみ持ちプレイヤーにこそ試してほしい。

見送るべきケース: かぶせ持ちメインのプレイヤーには形状の恩恵が薄い。手の長さ20.0cm以上の大きな手には全長125.0mmが不足する。Bluetoothが必要な環境やソフトウェアでの詳細カスタマイズを重視する場合も、M8は適さない。また、M8の形状は独特であり、実物を握らずに購入する場合は形状が合わないリスクがあることを理解しておくべきだ。

代替候補:

価格評価: ¥12,000は2023年発売のPAW3395搭載ワイヤレスマウスとして適正な水準だ。同価格帯にはPulsar X2 V2やEndgame Gear OP1 8Kなど強力な競合が存在するが、M8 Wirelessの形状には明確な代替品がない。つかみ持ち特化の低フロント+後方ハンプという設計は他社が模倣していない独自ポジションであり、この形状にフィットするプレイヤーにとっては¥12,000以上の価値がある。形状の一致はスペックの差を覆す——それはマウス選びの不変の原則だ。