Pulsar

X2H Wireless

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スペック

重量 55 g
全長 124 mm
65 mm
高さ 43 mm
センサー PixArt PAW3395
DPI範囲 200 – 26,000
ポーリングレート 125 / 250 / 500 / 1000 Hz
ボタン数 5
接続方式 wireless_2.4ghz, wired
バッテリー 70 時間
形状 ergonomic right
RGB なし
ソール素材 PTFE
発売年 2024

概要

Pulsar X2H Wirelessは、PulsarがX2シリーズの派生モデルとして2024年にリリースした軽量ワイヤレスマウスだ。55gの本体にPixArt PAW3395センサーとKailh GM 8.0スイッチを搭載し、2.4GHzワイヤレスと有線USB接続に対応する。¥14,000という価格設定は、55gクラスの軽量ワイヤレスマウスとして標準的な水準だ。

X2Hの「H」はHigh humpを意味する。既存のX2が低背のフラットなシルエットだったのに対し、X2Hは高さ43.0mmのハンプを備えたエルゴノミック右手用形状に仕上げられている。「X2の操作感は好きだが、もう少し手のひらのサポートが欲しい」——そう感じていたプレイヤーに向けた回答がX2Hだ。内部コンポーネントはX2 V2と共通のPAW3395+Kailh GM 8.0構成で、形状の違いだけに焦点を当てた設計思想が潔い。

デザイン・ビルドクオリティ

X2H WirelessのシェルはPC/ABS素材で成型されている。表面はマット仕上げで、手汗が付着しても極端に滑ることはない。ただし、長時間のセッションで手汗が多いプレイヤーはやや滑りを感じる場面がある。グリップテープの追加は好みの問題だが、標準状態でも実用上の問題はないレベルだ。

55gという重量は2024年のワイヤレスマウスとして軽量の部類に入る。シェルにハニカム構造の穴は空いておらず、クローズドシェル設計で55gを実現している。穴なし軽量は清潔さの面で有利だ——シェル内部への埃の侵入やソール裏への毛髪の巻き込みが少なく、長期使用での衛生面に安心感がある。

ビルドクオリティは¥14,000の製品として十分に高い。X2 V2と同等の作り込みで、シェルを軽く押してもたわみは感じられず、振ってもカタカタという異音はない。メインボタンの左右方向のぐらつきは極めて少なく、プリトラベルも小さい。Pulsarは世代を重ねるごとに品質管理を向上させており、X2Hもその恩恵を受けている。

RGBライティングは非搭載だ。競技志向のマウスとしてはむしろ正しい判断で、RGB非搭載によりバッテリー持続時間と軽量化に貢献している。光るマウスが好みのプレイヤーには物足りないが、FPSで勝つための道具としてはRGBの優先度は低い。

底面にはUSBドングルの収納スペースが設けられている。持ち運び時にレシーバーを紛失するリスクが低減されるのは地味に助かる設計だ。全体のデザインは装飾を排した実用主義で、Pulsarらしいストイックな仕上がりだ。

形状・グリップ互換性

X2H Wirelessの形状はエルゴノミック右手用だ。全長124.0mm、幅65.0mm、高さ43.0mm。X2シリーズの左右対称ベースから右手用の非対称エルゴ形状にシフトしており、右側面がわずかに内側にカーブし、薬指と小指の収まりが設計されている。左手プレイヤーには適さない。

「H」が付いた最大の変化は高さだ。X2 V2の高さ38.2mmに対してX2Hは43.0mm。この約5mmの差は数値以上に握り心地を変える。手のひら後部がハンプに接触する面積が増え、安定感が格段に向上する。X2を「フラットすぎて手のひらが浮く」と感じていたプレイヤーにとって、X2Hの43.0mmは明確な解決策になる。

かぶせ持ち(手の長さ17.0〜19.5cm、手幅8.5〜10.0cm) — 良好

X2H Wirelessは中型の手でのかぶせ持ちに適する。43.0mmの高さが手のひらの中央から後部をしっかりと支え、X2では得られなかったフルパームコンタクトが実現される。124.0mmの全長は手の長さ17.0〜19.5cmの範囲で過不足ない。55gの軽さは手全体を預けるかぶせ持ちでも取り回しが良く、大きな振り向き動作でも疲労が少ない。

ただし、手の長さ20.0cm以上の大きな手では124.0mmの全長が不足する。指先がマウス前方からはみ出し、メインボタンのクリック位置が深くなりすぎる。大きな手のかぶせ持ちにはDeathAdder V3(128mm)やZowie EC1-C(128mm)など、全長の長いエルゴマウスが適する。

手の長さ16.5cm未満の小さな手では、65.0mmの幅でもグリップ感は得られるが、43.0mmの高さが手のひらを上方に押し上げすぎて窮屈に感じる可能性がある。小さな手にはX2 Mini(高さ36.0mm)やVaxee XE(幅62mm)の方がフィットしやすい。

つかみ持ち(手の長さ17.0〜20.0cm、手幅8.5〜10.0cm) — 最適

X2H Wirelessが最も真価を発揮するグリップだ。手のひら付け根をハンプの頂点にあてがい、指をアーチ状に立てるつかみ持ちでは、43.0mmの高さが手のひら後部の接触面を適切に確保しつつ、前部は浮いた状態を維持できる。この「手のひら後部は触れるが前部は浮く」バランスが、つかみ持ちの操作精度と安定性を両立させる。

X2(高さ38.2mm)ではつかみ持ち時に手のひらのアンカーポイントが浅く、激しいフリック動作中にグリップが崩れやすかった。X2Hの43.0mmはこの問題を解消する。ハンプが高い分だけ手のひら後部の設置面積が増え、指先のマイクロアジャストメント中も本体が安定する。55gの軽さと43.0mmのハンプ高——この組み合わせがつかみ持ちで最大の恩恵をもたらす。

Kailh GM 8.0スイッチのクリスプな感触もつかみ持ちとの相性が良い。指をアーチ状に立てた状態では指先に力が集中しやすく、明確なフィードバックのあるスイッチが操作ミスを減らしてくれる。

つまみ持ち(手の長さ17.0〜19.0cm) — 使用可能だが条件あり

つまみ持ちでも使用できるが、43.0mmの高さがネックになる。指先と親指だけでマウスを支えるつまみ持ちでは、高さのあるマウスほど指にかかる負荷が増える。X2Hの43.0mmは、X2(38.2mm)やViper V3 Pro(37.8mm)と比較して明らかに高く、長時間のつまみ持ちでは指の疲労が蓄積しやすい。

ただし、手の長さ18.0cm以上でつまみ持ちをするプレイヤーであれば、43.0mmの高さは十分に制御可能だ。指のリーチが長い分、高さへの対応力がある。つまみ持ちを主体にするなら、まずはX2(低背版)やEndgame Gear OP1 8K(38mm)を検討し、それでもハンプの安心感が欲しい場合にX2Hを試す——という順序が合理的だ。

センサー性能

PAW3395はPixArtのフラッグシップ光学センサーで、2024年時点の競技マウスにおけるデファクトスタンダードだ。DPI範囲200〜26,000、最大トラッキング速度400 IPS、加速耐性40G。スペックシート上は後発のPAW3950やFocus Pro 30Kに一部数値を抜かれているが、競技で使用されるDPI帯(400〜3200)においてはPAW3395の性能に不足は一切ない。

トラッキング精度はDPI変動率1%未満。ジッターはゼロで、低DPIでのスムージングも無効だ。400 DPIでVALORANTやCS2をプレイする場面で、PAW3950搭載マウスとの差を体感することはまず不可能だ。PAW3395は「完全に信頼できるセンサー」の一語に尽きる。

リフトオフディスタンスは初期値約1.0mm。FPSにおいては十分に低い値で、マウスを持ち上げて再配置する際のカーソル飛びは実質的に発生しない。Pulsar Fusionソフトウェアで調整も可能だ。

モーションレイテンシは約5.0ms、クリックレイテンシは約1.8ms。いずれも競技用途で全く問題のない数値だ。ワイヤレス特有の遅延増加は2.4GHz接続時には無視できるレベルに抑えられている。

スイッチ・ボタン

Kailh GM 8.0はゲーミングマウス用メカニカルスイッチとして高い評価を受けている定番スイッチだ。公称寿命8,000万回クリック、押下荷重約52gf。クリック感は「クリスプで一貫性が高い」と表現される——軽すぎず重すぎない明確なタクタイル感が特徴で、連打時のフィードバックが安定している。

光学式スイッチのようなリニアな感触とは異なり、Kailh GM 8.0はクリック時に明確な「壁」がある。この壁が誤クリックを防ぎ、意図的なクリックだけを確実に入力として拾ってくれる。VALORANTのようなタクティカルFPSでの単発撃ちや、タップ撃ち主体のプレイスタイルと相性が良い。

サイドボタンは2個で、本体左側面に配置されている。押し心地は明確で、ぐらつきは少ない。ボタン間のスペースは十分に確保されており、つかみ持ちで親指を深めに配置しても誤押下が起きにくい位置関係だ。

スクロールホイールはメカニカルのステップ式。ノッチの感触は中程度の重さで、武器切り替えにもウェブブラウジングにも使いやすい。ホイールクリックの荷重も標準的で、CS2のジャンプ投げバインドなどにも対応する。ボタン総数は5個——メイン左右、サイド2個、ホイールクリックの構成で、ゲーミングマウスとしては標準的だ。

接続性・バッテリー

X2H Wirelessは2.4GHzワイヤレスと有線USB接続に対応する。Bluetooth接続には非対応だ。競技用途では2.4GHzの低遅延接続が必須であり、実用上の問題はないが、仕事用PCとゲーミングPCの切り替えをBluetooth経由で行いたいプレイヤーにとっては不便に感じるかもしれない。Bluetooth切り替えが必須の場合は、Razer Viper V3 ProやLogitech G PRO X SUPERLIGHT 2などBluetooth対応モデルを検討すべきだ。

ポーリングレートは125/250/500/1000Hzの4段階で、4000Hz対応はしていない。1000Hzは2024年時点でもFPSの競技標準であり、大半のプレイヤーにとって不足はない。ただし、4000Hzの超低遅延環境を求めるなら、対応ドングル付きの製品を選ぶ必要がある。

バッテリー持続時間は公称約70時間。実測ではおおよそ85〜95時間程度と報告されており、公称値を上回る。RGBを搭載していないため、ライティングによるバッテリー消耗がゼロという構造的優位がある。1日4〜5時間のゲームプレイで約3週間は充電不要だ。充電はUSB-Cケーブルで行い、充電中は有線マウスとしてそのまま使用できる。

マウスソール・滑り

X2H Wirelessの底面にはPTFEソールが4枚配置されている。ソールの厚さは0.8mmで、初期状態から滑りは滑らかだ。ブレークイン期間はほぼ不要で、開封直後から安定した滑走感を得られる。初動のひっかかりも少なく、コントロール系パッドからスピード系パッドまで幅広く対応する。

ソールの消耗後はCorepad SkateやTiger Arcなどのサードパーティ製交換ソールが入手可能だ。Pulsar X2シリーズは市場シェアが大きく、交換ソールの選択肢が豊富な点もメリットの一つだ。

ソフトウェア

Pulsar Fusionがカスタマイズソフトウェアだ。DPIステージの設定、ポーリングレートの変更、ボタンリマッピング、リフトオフディスタンスの調整が可能。オンボードメモリには1プロファイルを保存でき、Fusionがインストールされていない環境でも設定を維持できる。

機能面での不足はないが、UIの洗練度ではRazer SynapseやLogitech G HUBに見劣りする。設定項目がシンプルな分、迷わず使えるという利点はある。必要最低限の機能を確実に提供するタイプのソフトウェアだ。

プロ選手の使用状況

X2H Wirelessを競技シーンで使用するプロ選手は、現時点のデータベースに登録されていない。ただし、PulsarのX2シリーズ全体としては競技シーンでの採用実績があり、X2Hはその形状バリエーションとして一定の認知を得ている。

プロ選手の機材選定はスポンサー契約に左右されるため、使用実績がないことが製品の競技適性を否定するものではない。PAW3395+Kailh GM 8.0の構成は競技で広く使われている組み合わせであり、センサーやスイッチの面で不足はない。X2Hの形状がフィットするプレイヤーにとっては、十分に競技で通用するスペックだ。

コミュニティの評価

高評価ポイント:

不満として挙がる点:

コミュニティのレビューでは「X2が合わなかった人へのセカンドチャンス」という評価が多い。X2のフラットな形状に馴染めなかったプレイヤーがX2Hに移行し、ハンプの追加で一気にフィット感が改善されたという報告が散見される。逆に、X2の低背に満足していたプレイヤーがX2Hに変えても「別にX2でよかった」という感想になりやすい。

総評・購入ガイド

買うべき人: つかみ持ちで手の長さ17.0〜20.0cmのプレイヤーがメインターゲットだ。X2の操作感を維持しつつ、43.0mmのハンプによるパームサポートの安心感を加えたい——そのニーズにX2Hは正確に応える。¥14,000で55g・PAW3395・Kailh GM 8.0のパッケージは、2024年のワイヤレスマウスとしてコストパフォーマンスに優れている。X2を試して「もう少し高さが欲しい」と感じたプレイヤーには、迷わず推奨する。

見送るべきケース: 低背マウスを好むプレイヤーはX2を選ぶべきだ。43.0mmの高さはつまみ持ち主体のスタイルには不利に働く。大きな手(手の長さ20.0cm以上)には124.0mmの全長が足りない。Bluetooth接続が必要なら他の選択肢を探す必要がある。4000Hzポーリングレートを求めるなら対応製品が別にある。

代替候補:

価格評価: ¥14,000はX2 V2とほぼ同価格帯で、形状の違いだけで差別化している点はPulsarの合理的な戦略だ。PAW3395+Kailh GM 8.0+55g+クローズドシェルという構成を¥14,000で手に入れられるのは、2024年の市場において十分に競争力がある。X2Hの本質はスペックの高さではなく、X2にはなかった「高めのハンプ」という形状オプションの提供にある。形状が合うかどうか——それだけが購入判断のすべてだ。