Logitech

G Pro X Superlight

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スペック

重量 61 g
全長 125 mm
63.5 mm
高さ 40 mm
センサー HERO 25K
DPI範囲 100 – 25,600
ポーリングレート 125 / 250 / 500 / 1000 Hz
ボタン数 5
接続方式 wireless_2.4ghz
バッテリー 70 時間
形状 symmetrical
RGB なし
ソール素材 PTFE
発売年 2020

概要

Logitech G Pro X Superlightは、2020年末に登場したワイヤレスゲーミングマウスの歴史的転換点です。前身のG Pro Wireless(80g)から17g削減した63gの軽さを、穴あきシェルではなく通常のソリッドシェルで実現。発売直後からプロシーンに急速に浸透し、2021年から2023年にかけてeスポーツで最も多くのプロ選手に使われたマウスとなりました。

スペックは明快です。HERO 25Kセンサー、LIGHTSPEED 2.4GHz接続、バッテリー駆動70時間、左右対称デザイン。RGB照明やDPIインジケーターを排して重量削減に振り切った設計思想は、当時のゲーミングマウス市場に「軽さこそ正義」という流れを決定づけました。

2024年に後継のSuperlight 2が登場し、現在は世代交代が進んでいます。定価は¥20,000でしたが、値下がりして¥12,000〜15,000で入手できることが多く、このクラスのワイヤレスマウスとしては突出したコストパフォーマンスを発揮しています。

デザイン・ビルドクオリティ

シェルはPC/ABS素材にマットソフトタッチコーティングを施した仕上げ。手に持つと「本当に63gなのか」と驚くほど剛性感があります。穴あきデザインを採用せず、滑らかな外装を維持しながら軽量化を達成した点は、発売当時の技術力を示しています。側面を強く挟んでも明確な撓みはなく、振ってもカタカタ音は発生しません。

ソフトタッチコーティングは手汗をある程度吸収し、ドライな操作感を維持します。ただし長期使用でコーティングがテカる個体も報告されており、気になるプレイヤーはグリップテープの併用を検討してください。指紋は白モデルでは目立ちにくく、黒モデルでは若干目立ちます。

GPWから削除された要素として、右サイドボタンとRGB照明があります。競技FPSでは使わない機能を潔く削ぎ落とした判断で、軽量化に寄与しています。充電用USB-Cポートはマウス前面に配置。底面にはUSB-Aレシーバーの収納コンパートメントがあります。カラーはブラック、ホワイト、マゼンタ、レッドの展開です。

形状・グリップ互換性

サイズは全長125.0mm x 幅63.5mm x 高さ40.0mm。GPWとほぼ同一の形状を維持しつつ、内部構造の最適化だけで軽量化しています。幅63.5mmはワイヤレスゲーミングマウスの中ではやや広めで、手が大きめのプレイヤーにも対応できる余裕があります。

パームグリップ(手の長さ18〜20cm、幅9.5〜10.5cm)

Superlightのパームグリップは、中サイズの手に最も自然にフィットします。高さ40.0mmのリアハンプが手のひらの中心をしっかりと押し上げ、手全体がマウスの上に乗る安定した感覚が得られます。63gの軽さにより、アームエイム時の腕への負担がG Pro Wirelessから体感で分かるレベルで軽減されます。

手の長さが18cm未満だと前方ボタンへのリーチが若干遠くなります。20cmを超える場合はマウスの全長が足りず、手のひらの後端がマウスからはみ出す感覚が生じます。大きめの手には後継のSuperlight 2(全長125.8mm、高さ40.4mm)のほうが収まりが良いでしょう。

クローグリップ(手の長さ17.5〜20cm)

クローグリップとの相性は非常に良好です。40.0mmの高さが手のひらのヒール部分を適切に支え、63.5mmの幅が親指と薬指で側面を挟み込みやすい。63gの軽さは指先でのマイクロアジャストメントを軽快にし、高速なフリックからの制動もスムーズです。

GPWでクローグリップを使っていたプレイヤーであれば、同じグリップポジションがそのまま移行でき、17g軽くなった分だけ操作が楽になります。手の長さ18〜19.5cmのクローグリッパーにとって、Superlightは今でも有力な選択肢です。

フィンガーチップグリップ(手の長さ18〜20cm)

フィンガーチップグリップでは、幅63.5mmが両サイドを指でつまむ際にやや広めに感じる場合があります。手幅が9cm未満のプレイヤーだと側面の保持が不安定になりがちです。ただし中型以上の手であれば、63gの軽さと大型PTFEソールの低摩擦により、指先だけでの操作も十分に快適です。

フィンガーチップで重視される重量バランスは前後均等。特定方向に偏る癖がなく、どの方向への振り出しでも一貫した操作感が得られます。

センサー性能

HERO 25KはLogitechが自社開発した光学センサーです。DPIは100〜25,600の範囲で設定可能。最大トラッキング速度400IPS、加速耐性40G。数値だけを見ると現行のHERO 2センサー(最大44,000DPI、888IPS)に及びませんが、競技FPSで一般的に使用される400〜1600DPIの範囲ではトラッキング精度は完璧です。実用的なスピンアウトの報告もありません。

モーションレイテンシーは約4.5ms、クリックレイテンシーは約1.5ms。ワイヤレスゲーミングマウスとして発売当時はトップクラスの数値でした。現在はViper V3 Pro(モーション2.8ms)やSuperlight 2(モーション3.2ms)に数値上は劣りますが、体感差は限られています。ブラインドテストで4.5msと3.2msの差を識別できるプレイヤーはごく少数でしょう。

リフトオフディスタンス(LOD)は1.0mmを基準にG HUBソフトウェアで調整可能。低感度でリフト&リポジションを頻繁に行うプレイヤーでも、意図しないカーソル移動を抑えられます。

ポーリングレートは125/250/500/1000Hzの4段階。4000Hz以上はサポートしていません。高ポーリングレートを重視する場合はSuperlight 2(4000Hz対応)またはViper V3 Proを検討してください。

スイッチ・ボタン

メインスイッチはOmron製メカニカルスイッチ(2000万回耐久)。押下力は約55gfで、適度な重さとタクタイルフィードバックがあります。反応が軽すぎて意図しないクリックが発生する心配はなく、しっかり「押した」という感触が指に返ってきます。

クリックレイテンシー1.5msはメカニカルスイッチのデバウンス処理を含む数値で、光学スイッチのように瞬時にクリックが登録されるわけではありません。ただし実用上この差を体感できるプレイヤーはまずいないでしょう。

ここでSuperlightの最大の弱点に触れなければなりません。Omronメカニカルスイッチは、経年劣化によるダブルクリック問題が報告されています。1回のクリックが2回入力として認識される不具合で、数ヶ月から1年程度の使用で発生する個体があります。すべての個体で起きるわけではありませんが、無視できない頻度で報告されているのは事実です。後継のSuperlight 2ではLIGHTFORCEオプティカルメカニカルスイッチに変更され、この問題は構造的に解消されています。

左サイドの2ボタンは明確なクリック感があり、ゲーム中の操作に十分な信頼性があります。スクロールホイールは段階式で、ノッチ感は中程度。武器切り替えに使いやすい程度の抵抗があり、勢い余って2段回ってしまうミスも起きにくい設計です。

接続性・バッテリー

LIGHTSPEED 2.4GHzワイヤレスはLogitechの第一世代からの蓄積がある技術で、信頼性は折り紙付きです。LANトーナメント会場のような電波が飛び交う環境でも接続が途切れたという報告はほぼありません。Bluetooth接続は非搭載で、2.4GHz専用設計です。

バッテリー駆動時間は公称70時間。実測では使用環境やDPI設定により55〜65時間程度。1日4〜5時間のゲームセッションであれば2週間近くは充電不要で運用できます。充電はUSB-C接続で、充電中もプレイ可能です。バッテリー残量低下時にもパフォーマンスへの影響はありません。

レシーバーはUSB-A形状で、底面コンパートメントに収納可能。持ち運び時に紛失するリスクを抑えています。延長アダプターも付属しており、レシーバーをマウスパッドの近くに設置することで接続安定性を最大化できます。

充電は約2時間でフル充電完了。5分の急速充電で数時間分のバッテリーを確保できるため、対戦前に充電を忘れていてもインターバル中の補充で対応できます。

マウスソール・滑り

底面には上下2箇所に大型PTFEソールが配置されています。厚さ0.8mm、接触面積が大きく取られた設計で、マウスの傾きによる滑りの偏りが出にくいのが特徴です。

ストックPTFEソールの品質はクラス最高水準です。開封直後からクロスパッドで滑らかに動き、ハードパッドでも引っかかり感がありません。純正の時点で社外ソールへの交換が不要だと感じるプレイヤーが多く、これはコスト面でも大きなメリットです。

センサーリング周辺にも小さなPTFEパッドが配置されており、マウスを傾けた際の底打ちを防止します。この細かい配慮が、激しいフリック操作時にもソールが安定した接地面を維持する要因のひとつです。

社外ソール(Corepad、Tiger Arc、Lethal Gaming Gearなど)との互換性もあります。GPW/Superlight用のソールは選択肢が非常に豊富で、自分好みの滑り特性を追求しやすい環境が整っています。ガラスソールとの組み合わせも人気があります。

ソフトウェア

Logicool G HUBでDPI、ポーリングレート、ボタンマッピング、LOD調整などの設定を行います。オンボードメモリは1プロファイル対応で、設定を本体に保存すればG HUBを閉じた状態でも動作します。

G HUBはゲーミングソフトウェアとしては標準的な機能を備えていますが、UIのレスポンスが遅い、アップデート時に設定がリセットされるといった不満が長年報告されています。競技プレイヤーの多くは、DPIとポーリングレートを一度設定してオンボードに保存し、G HUBはアンインストールする運用をしています。

なお、DPIインジケーター(LED表示)は搭載されていないため、現在のDPI設定を本体で確認することはできません。設定変更はG HUBを起動する必要があります。

プロ選手の使用状況

G Pro X Superlightは、2021年から2023年にかけてeスポーツ史上最も広く使用されたゲーミングマウスです。CS:GO/CS2、Valorant、Apex Legends、PUBG、Fortniteなど、FPSタイトルのジャンルを問わず、数百人規模のプロ選手がメインデバイスとして採用していました。

この圧倒的な普及には理由があります。63gという重量は発売当時のワイヤレスマウスとしては革命的に軽く、GPWの80gから乗り換えた選手は即座に軽快さの違いを体感できました。同時に、GPWと同一の形状を維持したことで筋肉記憶の移行コストがゼロ。「今使っているマウスがそのまま17g軽くなる」という、リスクなしのアップグレードだったのです。

Valorantでは特にセンチネルやコントローラー役のプレイヤーに人気がありました。CS:GOのトッププロの間でも、s1mple、ZywOo、TenZなど数多くの著名選手が一時期メインマウスとして使用していた実績があります。

2024年以降、Superlight 2やViper V3 Proへの移行が進み、大会での使用率は低下しています。しかし形状の馴染みやすさから、依然としてSuperlightを使い続けるプロも少なくありません。特にパームグリップ主体で幅広形状を好むプレイヤーにとっては、Superlight 2とほぼ同じフィーリングが¥12,000台で手に入るという現実的な選択肢です。

よくある評価と不満

高く評価される点:

不満として挙がる点:

総評・購入ガイド

G Pro X Superlightは、ワイヤレスゲーミングマウスの「軽量革命」を起こした製品です。発売から5年以上が経過し、スペックシートだけを見れば後継機や競合機に追い抜かれた項目もあります。しかしマウス選びにおいて最も重要なのはスペックではなく形状の適合であり、Superlightの形状は数千人のプロと数百万人のプレイヤーが実証済みです。

Superlight 2との最大の違いは、スイッチ(Omron機械式 vs LIGHTFORCE光学式)とセンサー(HERO 25K vs HERO 2)とポーリングレート(1000Hz vs 4000Hz)の3点。この差に¥5,000〜8,000の価格差分の価値を感じるかどうかが、選択の分かれ目です。

購入すべき人: パームまたはクローグリップで手の長さ18〜20cm。GPW形状が好みだとわかっている。¥12,000〜15,000の予算で最高品質のワイヤレスマウスが欲しい。1000Hzポーリングで十分。ダブルクリック発生時にスイッチ交換できる、または保証期間内に購入する。

見送るべき人: 4000Hz以上のポーリングレートが必要(Superlight 2を検討)。ダブルクリック問題を完全に避けたい(光学スイッチ搭載機を検討)。手の長さ17cm未満でフィンガーチップ主体(Viper V3 ProやPulsar X2を検討)。最新スペックにこだわる(HERO 2やFocus Pro 36K搭載機を検討)。

¥12,000台で入手できる現在、G Pro X Superlightはゲーミングマウス市場で最もコストパフォーマンスに優れた選択肢のひとつです。「最新最強」ではなく「実戦で証明された定番」を求めるプレイヤーにとって、これ以上確実な選択はありません。